つぶやき(61)

中型雑種のももを筆頭に
下宿のばあさんが可愛がってた鼻ぺちゃ犬２匹と
猫多数が自由に出入りしていた下宿でした。

部屋の前の廊下では
捕ってきたスズメとかを
バリバリ音をさせながら
猫達が食べてました。

壁の片方が
冷蔵庫になっている廊下で
猫が産まれたり

とても野性味あふれる下宿でした。

初めて下宿にたどり着き
ご飯のとき
おかずが作り置きしてあり
それを取ると
おかずの間から
茶ゴキちゃんが勢いよく飛び出してきた
そんな愉快な下宿生活のスタートでした。

常に、ご飯のお味噌汁は食べ放題でした。
米は、どうやら量り売りするものらしく
普通のスーパーには売っていない特殊なお米のようでした。
お味噌汁は、代々継ぎ足しているようで
とても出汁の効いた
具が絶妙なお味噌汁でした。

アルバイトを終えて
ご飯を食べて
お風呂に入ると
湯船はコーヒー色でした。

最初、入浴剤か何かかと思っていたのですが
どうやら、下宿のばあさんが最初に入って
そのあと１５人の下宿生が入るので
その出汁が出たためのようです。

それを知った後は
とてもそのまま入る勇気が無く
夜中にお湯を貼り替えていると
決まって、下宿のばあさんが
『勿体ないからやめなさい!!』
と声を張り上げていたのを思い出されます。

部屋で酒盛りをやっていて
一階のトイレまで面倒だと先輩が言いだし
二階の窓からおしっこをしていると
タイミング良く、下宿のばあさんが出てきて
『あら?雨かしら?』と恍けた事を言いだし
違う事に気付いたあとの絶叫は今も耳からはなれません。

あるとき、部屋に戻ろうとしたら
猫が出てきました。
人のいない間に
母親から送ってもらった
鮭とばと、イカの燻製の
水洗いしたかと思うほど綺麗になっている中身の入っていないビニール袋と
とても、香ばしい匂いのプレゼントが置いてあったことも
今は懐かしい思い出です。

そんな下宿に４年間いた事が
私の人生の何かの足しになっているかもしれません。

約２８年くらい前に
千葉の園生町468-330の後藤下宿にいた皆さんは
今もお元気に暮らしているでしょうか?

ばあさんは元気かなぁ?
いや、ママと呼ばなきゃ怒られるんだった。

という、つぶやきでした。