20221110(木)

賃貸住居の退去時の「原状回復」はどこまで?


賃貸住居を退去する時、大家さんから「原状回復」の話をされ、その料金を請求される場合があります。

これは、直して返す。という意味で使われますが、実際は

1.通常損耗(住居として使用したらそうなってしまう事項)

2.経年劣化(物の劣化などは時間の経過で起きてしまう事項)

3.それ以外

に分かれて各項目、部位、材料ごとに借りていた方の責任がどのくらい(何%か)を評価して決めることになります。

クロスなどはそのままでは「誰に貸しても」損耗するのが当たり前だし、

貸さなくても時間の経過とともに劣化していきます。




こういったことを全て借りていた方の原因にするのは無理がありますのね。

そこで、国土交通省が作った「ガイドライン」に応じて部位、材料ごとに残存価値(時間経過などによる価値=価格)を算出して、

借りた方の責任割合を計算して価格を出していきます。

ここで重要なのは、借りた方には「善管注意義務」というものがあり、全て善良な管理者として使うことが求められます。

なので、借りたからは何でもしていいわけではないですよね。

また、借りる時の約束(契約書に記載されていると思います)を守るべきです。

よく、次に借りる人のためにすべて直すべき。という人もいますがそこまで前に借りていた人に求めるのは?ではないでしょうか。

もちろん、建物の使い方が悪く通常あり得ないこともあります。なので、契約する前にきちんと確認しておくべきだと思います。



2022119(水)

不動産売却を宅建業者に任せた場合にかかる金額はどのくらい?


不動産をお持ちの方が不動産の売却を宅建業者に任せた場合にかかる金額はどのくらい?というお話をよくお聞きします。

実際に宅建業者に支払うのは、売却が完了して引渡しが終わった時です。

売却を依頼する時、売却中で宅建業者に支払いは発生しません。

また、売却中に広告宣伝費や交通費なども全て宅建業者負担の経費で計上することが「宅建業法」という法律で決まっています。

ただ、依頼者からの特別の依頼があった場合は事前に相談し、承諾を得て実費精算になる場合があり得ますが

広告などはほとんどが宅建業者自身の利益のために行うので打たんすべきは宅建業者で、というのが法律上の主旨です。

また、司法書士や土地家屋調査士、また建設業者や片付けした方への支払いも宅建業者を通して支払うのではなく、直接の支払いにしなければなりません。(これも各法律で決まっています)

なぜなら、宅建業者がそれらについて上乗せしてもお客様は判断できませんよね。だから他の業者などには直接支払うべきだと思います。

そして、宅建業者に実際に支払うべき金額も「宅建業法」で決まっています。法律で宅建業者の事務所にもその文章を掲示する義務があります。

不動産売買においては、仲介手数料の上限が以下のように定められています。

【売買における仲介手数料の上限】
金額 仲介手数料の上限(取引金額に対する割合)200万円以下 5.5%
200~400万円以下 4.4%
400万円超 3.3%

ただし、低廉な空家等に関しては上記の限りではありません。低廉な空家等とは、売買代金や交換などにかかる費用が400万円以下の土地・建物を指します。

低廉な空家等の仲介手数料は、上記の計算式で算出された金額+当該現地調査に必要な費用の金額以内(18万円の1.1倍を超えない額)です。具体的な額については不動産会社から事前に提示されるため、契約締結時に確認しておきましょう。

という一見複雑な計算式で算出できます。これ以上の請求や受取は業者にとって宅建業法違反になります。

宅建業者への支払い金額に不安や不信がある場合は、監督官庁や宅建業協会などに確認したほうが良いかもしれません。

私自身も帯広市の住まいの相談員と北海道宅建業協会帯広支部の相談員をしています。

両方とも相談は無料です。是非お気軽にご相談ください。

また、弊社でも相談を受け付けております。

お待ちしております。



2022118(火)

分譲マンションは買うべきか?


十勝にも、高層のマンション(いわゆるタワーマンション)が数年前から完成、販売されて関心を持った方も多いと思います。

東京周辺などの大都市圏、北海道の札幌などでは、分譲マンションが普及していました。

帯広でも現在30棟前後の分譲マンションが存在しています。

中には築30年以上の物件もあり、様々な問題が起きていることを見聞きすることも多いです。

私も国家資格の「マンション管理士」を持っていて、北海道マンション管理士会に属する十勝在住の唯一の所属会員です。

昨年、国土交通省の事業である全国で行われた「分譲マンション実態調査」の北海道道東地区の調査をする機会に恵まれました。

十勝と釧路の8物件を担当しましたが、どれも良好な管理がされているとは言えないものがほとんどでした。

このまま全国で管理に問題がある分譲マンションが多く、この先大きな社会問題になることが予見されています。

マンション管理に関する法整備も進みましたが、根本的な問題も多く、分譲マンションを所有することに多くの課題もあります。

分譲マンションの所有に関する所有者の負担面でいえば

1.購入した支払い以外にも「管理費」と「修繕積立金」の支払いは所有している限り続く

2.修繕積立金で大規模な修繕ができない場合、その費用の負担が発生する可能性がある

3.固定資産税等も他の物件に比べると少ないとは必ずしも言いづらい

といったことがあり、特に年金生活後も多額の費用負担が発生する可能性が高いです。

物件も賃貸にした場合も賃貸人にこの費用は負担させることはできません。

所有している限り続きます。逃れる手段は現時点ではほぼありません。

では、簡単に所有権を他者に移せるか?というと、なかなか売れない事もあり得ます。

マンション自体の建て替えも法整備がされてきましたが、それでも建て替えの道は遠く、険しいものです。簡単にはできません。

なんの言っても、決めるには持分による決議が必要で奈かな所有者一人だけの意見だけでは実現できません。

また、気が合う人たちがいれば何とかできそうな気がしますが、実際には声の大きな方の意見が通りやすいのも私自身、マンション管理士として体験したことがあります。

管理組合だけでなく、隣接する住戸同士の人間関係が悪くても簡単にはならないことが多くあります。

なので、分譲マンションを持ち続けるのも住み続けるのも金銭だけでなく人間関係を続けることも苦労が多いのが現実です。

お金があれば解決できる問題かもしれませんが、どれも

個人の意思だけではどうにもならないことばかりなのが実際です。

実際にマンション管理組合内での関係が悪くなったためにそのマンションを安価で手放しざるを得なくなった方もいらっしゃいました。

想像以上に自分個人の意思が実現できない事も多く、意志の強さが要求されます。苦労は多いと思います。

これなら、普通に戸建て住宅を持つ方が苦労は少ないと思います。

ある研修会で教えてもらったのですが、数年前の東京で調査して買った時から1年後に価格が上がったマンションは3か所しかなかったそうです。

条件は一致していて、外国の大使館がある地域のみだったそうです。

新宿でも渋谷でも吟佐での値段は上がらない。という話でした。

つまり、投資用として分譲マンションはあまり大きなメリットは無いのでは。と言われました。

利便性が高く、個人の負担が少なく見えますが独自のルールを受け入れなければ快適な生活は望めないかもしれません。

じっくり考えてから決断しなければならないと思います。



2022117(月)

中古住宅契約前、もしくは引渡前にチェックしたいこと


前に記事にも書きましたが、中古住宅はトラブルが付き物です。

そのため、中古住宅契約前、もしくは引渡前にチェックしたいことがあります。

1.きちんと各水栓から水が出るか、どこかで水漏れは無いか?

「通水試験」とも言います。専門の水道業者さんに依頼して、水を出してもらい配管のどこかに水漏れが無いかを確認していただくものです。

この時、各水栓金具のパッキンが劣化してそこから水がポタポタと垂れることがありますが、水栓金具(蛇口)を新しいものに交換するとか、パッキンを交換するなどで対処することが多いですね。

費用は契約内容によりますが、水栓金具などはピンキリなので、購入される方の負担でお好みのものを購入される方のご負担で付けることが多いですね。

2.「建物状況調査」を申し込み、実施してもらう

これは建物の雨漏れと傾き具合をチェックするものです。現状建物に雨漏れ、傾きが無いかを専門家にチェックしてもらうものです。

この調査によって、保証や保険が付くものでは無く、原因の特定もできませんが、居間不具合の現象が無いかはチェックできます。この検査は契約前の「重要事項説明」の時にお客様が希望されたら契約を仲介する不動産業者で説明しなければならない義務があります。(法律で決まっています)売主、買主双方がやらなくてよいとなれば不要ですが、相応の(安い)値段がするもしくは保証が付くなどした建物でなければやった方が良いと思います。

3.売主から「告知書」を必ず、もらっておく(署名による説明を受けておく)

これは建物の不具合等に関する事項があるかどうかを契約時に売る方(売主)から書面で説明をうけるものです。

改装されて宅建業者などが売主の場合(最低2年の保証が義務化されています)や建物を解体して、更地にして建て替える場合は不要ですが、建物を使う予定があるなら最低限でも、こういった事項は説明を受け、チェックしておくべきです。

不具合があるのを承知で買う場合も不要ですが、その場合は金額の大幅な値引きなどの交渉が必要または販売価格が安いことが条件になりますね。

中古住宅売買のトラブルが多いので国土交通省が主体で法律になったのが「建物状況調査」という制度ですから活用すべきだと考えます。



2022116(日)

中古住宅購入時の各種リスクについて


中古住宅の購入の場合、リスクはあります。

国土交通省も中古住宅売買のトラブルが多いので、「建物状況調査」を制度化しましたが、市場で十分に理解され、運用されているかは何とも言えません。

私たち不動産業者がその役目を負っているのですが、不理解や十分な知識が無い業者も数多くあります。

売る側からすると、リスクのほとんどは契約書類上の文章で無くなるものなのですが、

買う方からすると、リスクは消えません。

新築は10年、業者による改修済の物件などは短期間とはいえ、最低限の保証が付くので安心して単なる中古住宅は保証は付きません。

まれに保証の付いた検査済の物件もありますが、負担すべき経費が大きく、価格に転嫁せざるを得ません。

安価で良質な物件を得るには建物を見極めることが出来なければ判断できません。

これは不動産業者だけでは難しいものです。ですから建物の調査は専門家に任せるための制度が必要だったのです。

それに、前に挙げた建物状況調査でも調査でわかるのは、防水と構造のみです。内装や設備、電気等は調査の対象外です。

安心できなければ怪しい部分を自費で取り換えたり、改修工事を行うか、高額な建物保証などに申し込むなどが必要です。

ここまでくると、中古を買うメリットは少なくなり、いっそ、新築を建てた方が良いかもしれません。

逆を言えば、多少の難が出ることは分かった上で中古購入を選ぶ必要があります。

建物を解体するにも、検査するにもお金がかかる時代です。

リスクの大きさとお金を把握したうえで判断したいものです。

お悩みの時はご相談ください。



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