2008219(火)

ふたりの酒飲み

日航機が墜落事故を起こし、坂本九さんをはじめ多くの人が犠牲になった日、俺は松前にいた
松前とは言わずと知れた道南の城下町松前町である
松前町が位置する松前半島の先端に白神岬というのがあり
大学の友人の実家が商店を営んでいた
その店はいわゆる田舎の雑貨屋で
米も酒も肉も魚も切手も長靴もパンツも売っている店である

その店の片隅に古いカウンターがあった
ある朝、1人の老人がブラリと店に入って来て
おもむろに棚にある赤いキャップの焼酎ワンカップを手に取り
例のカウンターでグビグビと飲み始めた
しかも赤いキャップの焼酎を一気飲みである
フーっと深くため息をついた老人は程無く店を後にした

え~っこれって無銭飲食じゃん!
慌てた俺は友人の母である店主に「今・あの・あの」とドモリながら告げ口をした
店主は、あっそう・・みたいな感じで「いいの、いいの」と言った

あとで話を聞くと、このへんではそんな事が当り前らしい
近所の人達はフラリと店に入ってきて、誰にも声も掛けずにカウンターで酒を飲んで帰って行くらしい
当然「いつもニコニコ現金払い」ではない
でも借金を踏み倒すわけではなく
何ヶ月おきに適当にお金を置いていくと言うのだ

店もいくら貸したのかわからないし
客もいくら飲んだかもわからない
払いすぎか足りないのかなんて全然気にしていない
でも、そこには何ともいえない田舎ならではの温かいものを感じたのだ

少々前置きが長くなったようだ(えっ・・これが前置き?笑)

昨夜あるスーパーで買い物をしてレジに並んでいると
既に清算を終えたオジサンが台の上で買ったものをリュックにしまっていた
その台の上には飲みかけの缶ビールが置いてある
オジサンはリュックに買ったものをしまいながら
時おりそのビールを飲んでいる(ちみにそこは大きなスーパーです)
やっちゃったねオジサン・・
家まで待ちきれなかったんだね・・

ところがそのオジサンは缶ビールを飲み干すと
買い物カゴから紙パックに入った1リットルの日本酒を取り出した
そしてオジサンはすかさずキャップをはずしてしまった
え~っここでラッパ飲み?
そっそれはまずいだろ~俺は思わず半歩歩み寄った

でもそのオジサンは偉かった
そんな行儀の悪い事はしなかった
しなかった代わりに、例のリュックから空になったお茶のペットボトルを取り出し
それに日本酒を詰め替えた!
そして紙パックに残った日本酒をリュックにしまい込み
ジロリと周りを見渡しながら「俺はお茶を飲んでるだけだよ~」という顔をしながらペットポトルの日本酒をグビグビと飲み始めた

おお・・こんな人もいるんだなぁと、まるで夢を見ているように立ち尽くした

そんな姿をみて、ついあの白神の老人を思い出してしまったのだ











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