202179(金)

ヒヤリハットを減らすために


今年の6月から、HACCPが飲食店に義務付けられています。



といっても、HACCPの認証を取得しなければならないわけではなく、

HACCPの思想に基づいた衛生管理計画を立てて記録するということになります。



HACCPはとどのつまりは衛生管理の思想ですから、

飲食業に長年携わってこられた方々であれば

基本的に大きく変わったことをする必要はありません。



飲食業にとって、食中毒の発生は致命的ですから

どんなお店であれ、気を付けるべきことは大きくは変わりませんよね。



今まで留意されてこられたことを、言語化し共有すること、

そしてそれを記録することが

この基本的な取り組みということになります。



ただ、その共有については少し工夫が必要です。



例えば、飲食業の場合であれば、

新人スタッフに対してはほぼOJT(On -Job -Training)で

仕事を教えていくことになると思います。



ほとんどの場合、新人スタッフは

衛生管理の面においても熟練のスタッフとは差があるはずですが

それでも現場に出してオペレーションをさせるわけですから

当然ながら注意すべき点は多々出てくることになります。



手洗い、清掃、検品、仕込み、提供・・・

飲食業は業務が多岐にわたりますから

マニュアル化されている部分でも徹底度に問題があったりします。



そういう積み重ねが万が一の事態を引き起こす原因にならないように

マネジメントを行い、その記録を残していくのが

HACCPの理念を取り入れるということになります。



一例をあげてみましょう。



「冷蔵庫の庫内温度を確認した」



というチェック項目があるとします。



その項目をそのままチェックシートに記載して

〇をつけていくやり方だと、ほぼ確実に形骸化します。

人間の意識は、曖昧な指示には集中できないようになっています。



確認した”ような気がする”、でも人は「確認した」に〇をつけます。

であればやはり指示としては



「冷蔵庫の温度は X℃だった」



と具体的な数字を記入させるか、



「冷蔵庫の庫内温度は10℃を越えていなかった」

「冷蔵庫の庫内温度は4℃以下ではなかった」



といった形で分割して記録させた方がいいということになります。



機種によっては



「冷蔵庫のインジケーターの色は ▲色だった」



という記載にして、赤、黄、緑などを記入させることになるかもしれません。



もちろん、故意に虚偽を記載する意思があれば、記録自体が無意味になります。

ですが逆に言えば、そういう故意がないのなら、庫内温度が12℃なのを

わざわざ「10℃」と変えて記入することはないでしょう。



「〇〇君、冷蔵庫の温度見てきて」



と言ってしまうと「見てきました」で終わってしまいますが



「〇〇君、冷蔵庫何度?」



と見に行かせれば「10.1℃でした」となるでしょう。

そんな風に、なるべく具体的に、シンプルな形で

衛生管理記録を付けていくことが重要になってきます。

故意は排除できなくても、ミスや惰性は排除しましょう、ということですね。



メニューの分類など、飲食店におけるHACCPの注意点は数多くあります。

作るまでが大変なものもたくさんあります。

実際私の経験でも、衛生管理の記録は大変だなと思うことがしばしばありました。



お手伝いできることもあろうかと思いますので

義務化されたのは知っているけど手が回らない、というお店はご相談ください。






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