2022111(火)

海外に目を向けたビジネス


コロナ禍で激減した外国人観光客ですが、最近になって待機期間など大幅に緩和され、円安も相まって一気に増えてくることが予想されます。日本円が安くなるということは、すなわち外国通貨(ドル・ポンド・ユーロ・人民元など)を手に入れるためにより多くの日本円が必要となるわけですから、外貨獲得のためには観光客を誘致する必要があるのは当然でしょう。


残念ながら、東京オリンピックでは活用できませんでしたが、ホテルや民宿といった旅館業もまた息を吹き返してくるでしょうし、いわゆる民泊も増えてくると思います。


これらの宿泊施設においては、旅館業か住宅宿泊事業法の規制があるため、それに沿った形で構造や設備を整えないとなりません。建物や備品など、かなり大掛かりな設備投資が伴うため、安易に進めると思わぬ障害が発生します。


旅館業そのものも、距離要件や用途地域の指定、消防法令への適合検査などがあり、許可取得はかなりの難易度ですが、恐ろしいことに、単に旅館業の許可を取得するだけでは足りません。

・レストランを設けるなら飲食業(社交飲食店の許可や深夜酒類販売の届出が要ることもあります)、

・温泉を引くなら温泉利用許可(温泉採取や掘削の許可が必要になることもあります)、

・日帰り入浴をするなら公衆浴場許可、

・ゲームコーナーを設けるなら、風適法(5号)の許可、

などを取得しなければならないケースは非常に多いですし、たばこや酒類の販売許可なども必要になってくるケースもあります。(地酒などをお土産屋さんで売る時に、酒類販売の免許が必要になります)

温泉の成分分析なども必要になります。

どれも図面の添付が必要になりますが、寸法の測り方がそれぞれの許可要件で異なります。別々の図面が要る、ということです。壁芯なのか内法なのかといったことを知らないで作成すると、補正、最悪の場合は不許可処分が待っていることになります。

*壁芯と内法が何のことか分からない場合は、そもそも手を出さない方が良いかもしれません。時間ばかりが掛かってしまいます。

すべてうまくそろえて許可を取得した後に気を付けないといけないのは個人情報の保護。日本の個人情報保護法だけでなく、EUの定めるより厳格な個人情報保護法(GDPR)にも対応しないと、インバウンドは怖くてできません。日本の法令では合法でも、EU圏の外国人が宿泊する場合はGDPRが適用されるからです。罰則も、「最大で該当企業における全世界年間売上の2%または1千万ユーロの、いずれか高い方」とかなり重いです。1千万ユーロって10億円以上ですからね。

他社から建物を買い取っても許可自体は引き継げないことにも要注意です。事業譲渡では許可は新規取得になります。そして、建物や施設の譲渡が伴うなら、図面が揃っているかどうかも注意しないとなりません。図面が散逸して揃わない場合は新たに作成しないと許可が取れませんが、配管などの図面は新規に作成するのに非常に手間がかかるからです。壁の中や天井裏、床下などを通っているわけですから当然ですよね。

こういった大きな設備投資を伴う場合に絶対にやっていけないのは、「昔これで許可が取れたのだから今回も取れるだろう」という見込みだけでスタートすることです。法令の改正や図面の散逸など、障害となる要素はたくさんあります。事業譲渡に伴うデューデリジェンスの範囲は通常よりも広がると思った方がいいでしょう。

これを自力でやるのはかなり難しいです(大きな会社であれば専門の部署があるかもしれませんが)し、我々行政書士でも、チームを組んでお受けするケースも少なくありません。いずれにしても、行き詰まってからよりも計画の段階からご相談いただいた方が、かえって安上がりかつ円滑です。






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