行政書士業務(164)


2023621(水)

ちゃんとやってあるから


ご両親や配偶者に何かあったら、そう考えることはだれしもあります。年齢が高くなればなるほど、その意識は高まることでしょう。

終活というと、財産の相続にまずは目が行くと思います。


自宅などの不動産のこと、
預貯金、
株式や外貨建て預金、仮想通貨などの金融資産、
生命保険や共済

いろいろと整理しておくことも大事です。使わない口座などを生前に解約しておくことも立派な終活です。
それに、財産はプラスのものばかりではありません。

事業での借入れ、
家や車のローン、
意思能力を喪失した時のこと

こういったことも、どうなっているのか心配になることは多いことでしょう。不幸があった後のことですから、訊きにくいのも確かです。意を決して「万一の際のことってどうしてるの?」と尋ねた時に

「ちゃんとやってあるから大丈夫」
「心配いらない」

などと答えられたら、それ以上のことは訊けないという方も多いはずですが

ちゃんと、って何?

となることもあるはずです。

遺言書を作成してあるとしても、法律上の要件を満たしていないこともあります。そうなると、本人の意思が分かるとしても、遺言自体が無効になることもありますから、相続は”争族”へと変わってしまいます。

終活セミナーなども行われていますが、必ずしも疑問に思っていることを教えてくれるわけではありませんから、そこには注意が必要です。ご家族に高齢の方がいる場合や、自分が事業を営んでいる場合などは、一度専門家に話を聞いてもらうだけでも違うと思いますので、是非専門家を活用してみてください。

特に、個人事業主や法人の代表者をなさっている方などは、年齢にかかわらず、一度しっかり考えてみることをお勧めします。



2023612(月)

事業計画書の作り方


事業を行っていく上で資金調達は永遠のテーマです。
事業主にとって、キャッシュフローは血液の流れと同じなので、足りなくなったり滞ったら命に関わります。

一つ例を挙げてみましょう。

Aさんは、ある製造工場で製品を作っているとします。6人のスタッフを雇っていますが、人件費や諸経費を支払うと、Aさんの手元には10万円しか残りません。これでは経営が成り立たないというか、Aさんは食べていけませんね。

ではどうやって食べていけるようにするか。

スタッフを5人に減らすことで人件費を削減しようと考えたとします。

1人が1..25人分働けば何とか回せるじゃないか、あいつらペチャクチャおしゃべりばかりしている時があるから休憩しているようなもんだ、休憩時間を削って毎日1時間ずつサービス残業させれば何とかなる!何なら俺が現場に入ればいいだけだ!となるわけです。

ブラック企業ですね。

これを名案だと考えてしまう人はあまりいないんじゃないでしょうか。スタッフの離職率が高くなったり、品質が低下したり、未払い残業訴訟などのリスクが跳ね上がったりすることになります。だいたいにおいて、経営者が現場作業をやっているうちはなかなか事業の規模は拡大しません。

経営者の仕事は、業務を効率化するだけでなく、もっと売る方法を考えることです。生産量を上げるだけでなく、新しい取引先を見つけて売上を伸ばす。そのために機械化やデジタル化があるわけです。

ではどうやって新しい取引先を見つけるか。

広告を出す、新しい営業スタッフを雇う、といった方法から最適なものを選び出す。1つとは限りません。そして、機械化やデジタル化の費用をどうするか。最新の機械にはお金がかかりますから。

そこで資金調達の話が出てくるわけです。銀行や公庫からの融資も、補助金も、その計画がベースにないと決して出てきません。

需要の無いモノは営業を雇ったところで売れませんから、そもそも需要はあるのか。
その機械を入れればどれくらい生産性が上がるのか。
競合他社の製品と比べて品質や性能はどうなのか。
広告のやり方は本当に顧客層に刺さるものなのか。

などなど考えて決めることはたくさんあります。少なくとも、機械や設備を導入するなら、それがAさんのビジネスの課題(強みを伸ばす、弱みを補う、需要を取りこぼさない、競合他社と差別化する)を解決することに繋がらないと、資金は調達できないでしょう。

ちなみに、補助金などで、この部分も丸投げで作って欲しいというご相談をいただくことがあります。

まずそれは無理です。できません。

そんなの外から全部見えるわけがないですよね。一般論ならある程度の事は分かっても、個別具体的な話は事業主本人しか分かりません。自分の事業を一番よく知っているのは事業主本人ですから、一緒にその洗い出しをしていただけないと、事業計画書を作る以前の話になってしまいます。というか、それで作れるのは架空の物語であって計画書ではないですよね。

なので、補助金を使って設備投資をしたいと思ったら、まず事業の課題分析から入る必要があります。その洗い出しをしていけば、計画は自然と具体的に、現実的になっていくと思います。もちろん、その過程で、外部の視点が意外と役立つということは多々あります。そして、文章化するお手伝いもできます。

丸投げをお受けすることはできませんが、良い計画書を作るお手伝いはできます。急いで申請する前に、まずはご相談ください。



202368(木)

社長になりたい!と思ったら


この日本社会においては、社長になること自体はそれほど難しいことではありません。

法人を設立してその代表者になれば、とりあえず社長になることは可能です。

といっても、法人を設立するのはそれなりに手間もかかります。実際に事業を運営していくのはさらに大変なのはいうまでもありません。名目だけの社長になっても仕方がありませんよね。

法人を設立する手順は、ざっくり書くと

1 会社の基本的な事項の決定
2 必要書類等の準備と、定款等の書類一式の作成
3 公証人による定款認証(株式会社のみ)
4 法務局への登記申請
5 各種届出(税務署、地方税事務所、労基署等)


という順番で進めていきます。この中に、印鑑証明書を取得したり、法人の代表印などを作成したりといった雑務も入ってきます。

また、会社の細かな決定事項を決める時には注意事項がたくさん出てきます。法人の名前(商号)を決める場合には、同一商号に引っかかっていないか確認する必要がありますし、2人で法人を立ち上げる際、持ち株比率を軽率に50:50にしてしまうと、意見が対立したときに何も決まらないデッドロックの状態になってしまいます。

意外と重要なのが事業目的で、自分が何の会社を作るのかがはっきりしていないとあれこれ欲張ることになります。大きな商社でもないのに20も30も事業目的があるのはあまりお勧めはできませんが、後から追加変更するのは、手間もお金もかかりますので、実際にやろうとしていること、将来やるかもしれないことそれぞれを、ある程度明確にしておくことが必要でしょう。

加えて、許認可を取得しなければできない事業の場合には、運送業をやりたいなら運送業、民泊をやりたいなら旅館業といったことを事業目的に入れておくべきです。

これにも注意点があって、建設業の場合には、単に建設業と記載するのではなく、とび・土工だったり内装工事だったりといった建設業29業種に沿って書いた方がいいです。

これは、公共工事などへの入札を行う際には、事業目的の中に、当該事業を行うことが明確に分かることを求められるケースがしばしばあるからです。例えば、公共団体の水道管工事の指定業者になるためには、「目的」欄には、「建設業」「土木工事業」等ではなく、「管工事業」「給排水設備工事業」「水道工事業」といった給水装置に関する事業を行う者であることが、明確に確認できる項目のあること、を求められることが多いよ、ということになります。

これらを終わらせてようやく法人ができるわけですが、そこにはたくさんの専門家が必要になります。

法人の設立登記をするのは司法書士さんですし、人を雇用するなら社会保険関連のお仕事を社会保険労務士さんにお願いすることになりますし、決算や税金のことを任せるのは税理士さんです。そして、事業をやっていく上で必要な許認可や届出、会議議事録などの作成については我々行政書士ということになります。行政書士の場合は、競争入札資格の申請など、営業活動のお手伝いもかなり入ってきます。

ちなみに、これは聞いた話なので全てに当てはまるわけではないでしょうが、法人の決算期は、12月、4月、9月にする方がとても多いので、税理士さんとしては決算期は重ならない方がありがたいそうです。個人事業主も12月で締めて2月に確定申告をしますから、その辺りが繁忙期になるのは容易に想像できますね。なので、決算期は7月とか10月とかにした方がいいのかなとうっすら思っています。

ここまでは手続きの話です。

実際に運営ということになると、そこに営業や資金調達や人事なども入ってくるわけですから、社長になるのは簡単だけど、社長でいるのは大変だというのが正確かもしれません。

いずれにしても、一人で全てをやるのは不可能に近いと思いますので、ぜひ専門家を活用してください。当事務所でも、行政書士業務はもちろんのこと、他の専門家にお繋ぎすることもできます(受けていただけるかどうかは保証できませんが)ので、お気軽に。

今すぐじゃなくても、2年後に法人設立したいんだけど今から何をしておけば良いか、といったことでももちろん構いません。資金調達などでは計画性を重視されますので、むしろその点では社長の素質十分ですよ。



202366(火)

かっこいいやつがいい


全国各地には「ご当地ナンバー」と言われるものがあります。

ナンバープレートは「品川」「練馬」「札幌」といった管轄区域の名前で発行されますが、一定のエリアで名前を別に作り、世界遺産などの観光名所だったり、その土地のシンボル的な絵柄を入れたデザインで、ナンバープレートを発行できるというものです。


飛鳥ナンバーが人気のようですが、確かにかっこいいですね。「飛鳥」ナンバーは奈良県橿原市、高取町、明日香村、田原本町、三宅町のエリアだけで発行されています。


画像


十勝にも2025年をめどにご当地ナンバーができるようです。これまで「帯広」ナンバーだった十勝管内で、「十勝」の名前でナンバープレートが発行されるようになります。該当地域にお住まい(厳密には「使用の本拠」といいます)の方は、希望すれば「十勝」ナンバーにすることができるようになります。

デザインなどはこれからだと思いますが、せっかくなのでかっこいいのを期待したいところです。十勝なので雪や氷のデザインとかだとかっこいいのができるんじゃないかなという気もします。もちろん景色をモチーフにするのもいいのですが。牛・・・はまぁちょっとアレかな。

ナンバープレートの番号は特に理由が無くても変更できます。ただし、封印の取付けが必要になる場合には、運輸支局に車を持っていって、手続きが終わってから取付ける必要があります。

一定の条件を満たして登録を受けた行政書士であれば、ナンバー変更の手続きを代行するだけでなく、ご自宅やお店に伺ってナンバープレートや封印の取付けをすることができます。車を置いたままでいいというのはかなり便利です。

お急ぎの際は特急対応、夜間対応なども可能ですので、お気軽にどうぞ。



2023531(水)

いつか役に立つ


個人事業主、フリーランスの方に多いのですが、契約書を交わさないだけでなく、注文書と注文請書のやり取りや、請求書などの控えを残さない方をしばしば見ます。


・事務処理などが面倒
・どういうことを記載する必要があるかわからない
・口頭でも信頼関係があるから大丈夫
・これまで特に問題が起きたことはなかった

などがその理由として大きいでしょうか。
とてもよく分かります。ほとんどの場合は、それで大きな問題が発生することはないでしょう。万一大きなお金の契約をすることになったら作ればいいと思うのも良くあります。

契約書の作成にはそれなりの費用がかかりますし、事務処理などはどうしても後回しになってしまいますから、いつの間にか控えがどこかに行ってしまったりもします。確定申告を適正にしておけばいいと考えてしまうこともあるかもしれません。

ただ、そこにはやはりそれなりのリスクが生じることも確かです。

契約書、注文書などを受け取っていなかったために、「依頼した内容と違うからお金を払えない」と言われてしまったり、支払い条件や税込み・税抜きの総額でトラブルになるリスクが一番よくあるパターンですが、それだけではありません。

実は、建設業の許可を取得する際に、過去の契約書や請求書の控えなどで、自身の経歴を証明するというケースがあります。最大で10年前のものが必要になります。要するに「10年前から個人事業主として工事をちゃんと請け負って完遂してきた」という証明をすることで、経営管理責任者や専任技術者としての適性を証明するわけです。

施工管理技士などの資格をお持ちの場合でも、過去の経歴を契約書などで証明することはあります。

ですので、お金のやり取りが済んだ後でも、あるいは確定申告に使用した書類の保存期間(最長7年です)が過ぎた後でも、ご自分の契約書類はきちんと残しておくと、いつか役に立つかもしれません。

今現在は個人事業主として数年の実績でも、いつか許可業者としてもっと事業を拡大していきたいという野心をお持ちの方は、今からきちんと書類関連を整備しておくといいと思います。

会計記帳なども含めて、外注していただくことも可能ですし、独立、開業に備えて資金調達の計画を立てるお手伝いもできます。

すぐに依頼するわけではないから・・・などと遠慮せずに、積極的にご相談ください。



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