202345(水)

自動車ローンが終わったら


自動車をローンで買われる方は少なくありません。

3年~7年くらいの期間でローンを組んで割賦払いしていくことになりますが、その間は、所有者が買った方ではない場合があります。ディーラーローンやディーラー提携のクレジット会社でのローンの場合ですね。

この場合、所有者はそのローン会社の名前になっています。ディーラーローンなら「○○トヨタ」などの名前になっていますし、クレジット会社ならアプラスだったりオリコだったりジャックスだったりになっています。

買った方は「使用者」として車検証などに記載されています。要するに、分割払いが終わるまでは、ローン会社が所有権者になるため、万一の場合にその車を引上げることができるようになっています。もちろん、ローンが終わるまでは、使用者が勝手に売買することはできません。

ローンが終わったら、所定の手続きをすれば所有権を買主の名前にできるわけです。

こういう売買のやり方を「所有権留保」と言います。これ自体はとてもよくある形態ですが、気をつけなければいけないことがあります。

所定の手続きをしなければ、所有権者はいつまでもローン会社のまま

ということです。もちろん所有権者だからと言ってローン会社が勝手に売却したりはしませんが、車検証の上では所有者がローン会社のままになっていることで、いろいろと不都合が起きることがあります。

ローンが終わっているのに自分の物として自由に処分できない

からですね。誰かに売却する際にはローン会社の所定の書類をもらわないと名義変更(移転登録)の手続きができません。書類をもらうには何日かはかかりますから、それまでは売買が完了できないということになります。

特に、ローンで買った方がお亡くなりになってから手続きをする場合、戸籍類などを提出することが必要になるケースもありますので、時間はさらにかかります。

自由に使ってきた車なので、自分が所有者だと勘違いしたままになってしまいますが、車を最初に買ったときと、ローンが終わったときの2回、名義変更(移転登録)する必要があるのでご注意ください。

また、転居や結婚などで住所氏名に変更がある場合は、一緒にその手続きもする必要があります。車庫証明や戸籍謄本などが必要になります。

放置していると、そろえる書類がどんどん増えて大変になるのでご注意ください。

車検証を見て、「あれ?ローン終わってるのに所有者がローン会社のままだ」と思った方は、当事務所でもご依頼承っています。



2023321(火)

自動車の相続


自動車も資産ですから、所有者がお亡くなりになった場合には相続財産に含まれます。

となると、相続を原因とする所有権の移転登録をする必要がありますので、相続人のうちのどなたがその自動車を引き継ぐか、遺産分割協議を行っていただく必要があります。不動産や預貯金、株券などと一緒に、分割協議をするわけですね。

分割協議書は、不動産や預貯金などとは別に作成することもできます。あるいは、遺産分割協議が成立しました、ということを相続人全員で申立てることで移転登録が可能になります。

この辺の手続きは査定が必要になったりして意外と面倒ですので、専門家にお任せいただく方が良いかと思います。

気をつけなければいけないのは、相続の放棄をする場合です。相続人の遺産には債務も含まれますので、不動産や預貯金などの資産よりも、借金の方が大きい場合には放棄をする、という選択肢も出てきます。

このとき、遺産の一部を処分してしまったり譲渡してしまったりすると、単純承認したものとみなされることがあります。この「遺産の一部」に自動車が含まれていることに気付かずに、廃車してしまったり、譲渡してしまったりするケースがときどきあります。

単純承認してしまうと相続放棄はできませんから、借金の方が大きくても引き継がないといけなくなってしまうことになってしまいます。

相続放棄は「申述書」というものを作成して家庭裁判所に提出することになりますが、これは行政書士業務ではなく、弁護士さんや司法書士さんのお仕事になりますので、こういうケースではご紹介するということになります。

軽い気持ちで「もう大した価値がないボロ車だし、税金来るのも煩わしいから引き取ってもらおう」みたいなケースが一番要注意です。どんなボロ車でも金属分の価値はあるものなので、安易な判断は禁物です。

ご相続の手続きをご自身でなさる方は意外と多いですが、手続きは自分でなさるとしても、専門家に相談することをお勧めします。



2023316(木)

スピード対応


自動車の登録はスピードが求められることがしばしばあります。

納車の日程は決まっているのに、買主からの必要書類がなかなか届かなかったりすると、当然後ろのスケジュールがタイトになります。大昔、学生時代にアルバイトしていたラジオ局では、そういう状態を「ケツカッチン」と言っていましたが、あまりお上品な言葉ではないので、このお仕事ではそういう表現は使いません。

3月は特にそういうご依頼が多いです。決算期日が関わってきますから、自動車販売店も書き入れ時です。

「今日書類がそろったので、今から発送します。明日の午前着くはずですので、明後日の午前着でお願いできるでしょうか」

などというご依頼もわりとあります。その時点で予定が埋まっていると、他の事務所をご紹介せざるを得ませんが、せっかくのご依頼ですので基本的には何とか調整してお受けしています。

当事務所に午前着で届く場合はだいたい10時過ぎなので、そこから運輸支局まで走って登録して戻って発送、ということになります。夕方までに発送すれば札幌なら翌日午前中に届くはずですが、やはり余裕を持って発送したいので、午前中発想を目標にしています。

自動車の登録書類には、委任状や税申告書などいろいろありますが、全ての書類を作成するのに急いでも30分くらいはかかります。譲渡証明書など、書き損じが許されない書類もありますので、そう雑なことはできません。あらかじめ記入してきてくれることもありますが、忙しい時期は日付や住所などが空欄のまま、ということも珍しくはありません。

書類の代理作成が行政書士のお仕事ですので、それ自体は何も問題ないのですが、急ぎの時は事前に車検証や登録事項通知書などをFAXや写メで送っていただけると泣いて喜びます。あらかじめ作れる書類を作っておけるだけで心の余裕が大幅に違います。

10時過ぎに届いて書類作成に30分かかると、登録がスムーズに終わっても発送するのは12時近いです。12~13時は運輸支局の窓口は閉まってしまいますので、それまでには何としても書類を提出する必要があります。うっかり遅れると大変です。

ですので、これをお読みの皆様も、行政書士に自動車の登録を依頼するときは事前に車検証をFAXか写メしてあげてください。



202331(水)

許可証を見てみよう


世の中には、数え切れないくらいの許認可があります。

有名なところでは、飲食業の営業許可や建設業許可、古物商許可などがあります。ちょっとマイナーなものだと、河川の砂利採取の許可なんてものもあったりします。


十勝では珍しくない農地転用の許可も、都会だとそれほど多くなかったりもします。あるいは、飲食業と似ていても、惣菜製造やパン製造などは別の許可が必要だったりします。たばこやお酒の販売は許可ではなく免許と呼びますが、これもやはり誰でもいつでも始められるビジネスではありません。


我々行政書士は、そういった許認可取得のお手伝いをしていくのがお仕事なのですが、許認可は取得したら終わりというものではないことには注意が必要です。


許可に期限があるものについては、期限内に更新の手続きをしないと失効してしまいますし、引っ越して住所が変わったり、役員が替わったり、名前が変わったりしたら変更の手続きが必要になります。


古物商やレンタカー業の許可は期限がないので更新の必要もありませんが、建設業や宅建業は、許可の期限は5年間です。令和5年3月1日に許可が出たら、令和10年2月28日までが期限です。


では更新の手続きはいつまでにするのかというと、それも期限が決まっています。遅すぎても早すぎてもいけないということになります。


建設業や宅建業は、許可満了日の90日前から30日前までに更新手続きをしないといけません。満了日までではないことは気をつけないといけません。


飲食業の場合は5~8年間の期限となっており、それぞれの事業者によって異なるので、そこにも注意が必要ですが、何より気をつけないといけないのは、食品衛生法が改正されて、今現在、営業許可を持っていても、


次の更新時には「新規に取得」しないといけない


ということです。飲食業の許可手続きに要する日数は、取得までおよそ2週間とされているので、こちらも気をつけて管理しないといけませんし、場合によっては設備や構造で引っかかることもあり得るということになります。


特にHACCPについては老舗ほど気をつけないといけないかもしれません。


いずれにしても、期限を過ぎてしまうと営業できません。手続きの間に営業してしまうと、無許可営業として罰則を科せられることになります。許可を取得して一安心、という気持ちはとてもよく分かりますが、許可証はきちんと確認して、期限管理していきましょう。


取得だけでなく、更新手続きももちろん行政書士業務です。期限管理も含めてお任せいただけます。



2023218(土)

議事録作成のススメ


企業規模の大小を問わず、どこの会社、どこの組織でも会議はあります。売上報告や営業目標設定、人事管理など各部署で議案はたくさんあることでしょう。

日本の会議は長い、とよく言われますが、その理由に
「議案を事前に共有しない」
「議事録を作成しない」
ことが挙げられます。議案が事前に共有されないから、議席についてから議案を確認しなければいけません。その確認に30分かかる、などということはざらです。

さらに、議事録を適切に作成しないことによって、数多くのデメリットを生じさせます。挙げてみましょう。

① 言った言わないの話が出る
これは言うまでもないですね。後日になってから、言った言わない、聞いた聞いていないの揉め事はそこらじゅうで発生します。このためだけに議事録を作る意味があると言っても過言ではありません。

② 数字や期日の勘違い、誤認識が発生する
例えば、納期や締め日などで2つ以上の期日が議案に出た場合、それを取り違えて記憶することは誰にでも起こり得ます。聞き違い、認識間違い、理由は様々ですが、時として大ダメージを受けることに繋がりかねません。

かつて、ジェイコムという会社が新規上場したときに、証券会社が「1株」を「61万円」で売る、という注文すべきところを「1円」で「61万株」売ると注文してしまい、400億円という大損害が発生した事案があります。もちろんこれは議事録の問題ではありませんが、出席者が個々にメモを取るということにはそれに近いリスクがあります。

③ 議案審議が混ざる
会議でやってはいけないことの一つに、「1つの審議事項の結論が出る前に次の審議事項に入る」ということがあります。議事録を取っていないと、「ちょっと待った」をかけられなくなります。一度結論の出た話の蒸し返しも同様ですね。

④ ハラスメント、感情的な発言が生まれる
セクハラ、パワハラといったことが起きるリスクがあるのはもちろんのこと、議論が白熱すると感情的な発言が出たりします。議事録があればそういった行動にブレーキがかかりますが、残していないとそういう「いやな記憶」だけが残って改善できなくなります。

⑤ 持ち越すとした継続審議を忘れる
議長も人間ですから忘れることはあります。「この件は後で」としていったん保留したことも、その他の議案審議の展開次第で、結論を出さないままに会議を終えてしまうことに繋がっていきます。

こうしたことは、人的リソースの割けない中小企業だと頻繁に起こります(残念ながら、大きな企業でもこうしたことは起こり得ます)。議事録作成にはコツ、ノウハウがあり、担当者育成も一朝一夕にはいかないものでもあります。

有意義な会議にしていくことが、業務の効率化、生産性向上のカギになったりします。プロに外注できるなら外注も手です。当事務所でも、NDA(秘密保持契約)を締結してから会議に参加して議事録を作成するお手伝いは承ります。お試しで1回呼ぶ、といったことでも構いませんのでご検討ください。



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