2015629(月)

難しかったです。でも、すごくためになりました。

中村雄二郎 『臨床の知とは何か』 岩波新書 1994年

近代科学の三つの原則<普遍性>と<論理性>と<客観性>をもとにした科学の知と技術文明は人類に多大な成果を与えてきた。しかしながら、今ここにきて現場や現実から従来の科学を中心とした知識では解決困難な問題が突き付けられていると多くの人々が感じているのではないだろうか。
このような問題意識から中村雄二郎はC.G.ユング、ニーチェ、I.イリイチ、C.レヴィ=ストロース、Th.クーンなどの仕事を検討し、<固有性><事物の多義性><身体性をそなえた行為>の三つを中心にすえて<臨床の知>を、近代科学の方法に対する別の選択肢のモデルとして提示している。それは<フィールドワークの知>あるいは<演劇的知>とも言えるとしている。
現代の新しい知が<厳密科学・精密科学>の面をもつだけでなく、それにもまして、具体的な場面・事物の多義性・相互行為に対応する知恵に充ちた技芸であること。そのような技芸を身に付けることによって、自己を括弧に入れて責任を回避する客観主義や普遍主義の落とし穴に陥らないようすることが必要であるとしている。

私は下記の指摘に注目しました。
 ・われわれ一人ひとりの経験が真にその名に値するものになるには、われわれが何かの出来事に出会って、<能動的に>、<身体をそなえた主体として>、<他者からの働きかけを受けとめながら>、振舞うことだということになるだろう。この三つの条件こそ、経験がわれわれ一人ひとりの生の全体性と結びついた真の経験になるための不可欠な要因である。(同書63ページ)

注目した理由は日々の教育実践が、塾生諸君にとって新しい知識を獲得するための真の経験になるために示唆に富むと感じたからです。ただマニュアルにそって教育知識内容を話したところで伝わりませんし、塾生の能力開発にはなりえません。知識内容を塾生諸君全員に伝えようと強い意志が、まずは大切です。そして、黒板を使って説明したり、塾生のノートをみたり、あるいはポイントを話しかけたりすること。そして勉強内容の難しさを共感し、理解を応援しながら意識のみならず「体を動かしながら」授業空間を塾生と共有していくことが、さらに重要であると考えます。「よくわかんない」「もう一度説明して」などの塾生からのわたしへの働きかけは更には教え手側の気づきにもつながり私自身の成長を促すのだろうと思います。
塾生諸君ももしかしたら、勉強である程度は苦しんでみることも必要かもしれません。でも、どうしてもわからなければ、ちゃんと自発的に質問することも、また大切なことです。






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