2015522(金)

力餅

 日頃は無視されっぱなしの書籍棚にある、藤村全集第十巻(筑摩書房)のページをなにげなくめくってみました。この1月のとても寒い日の夕方に急逝した父が買った本で、昭和42年8月10日発行とあります。「力餅」という作品のはしがきに下記のような文章がありました。

 「わたしたち一生の旅の間には、いくつかの峠も待っています。あまりお腹がすいていては、険しい路のよぢのぼれるものでもありません。いささかの力餅が、さういふ時のわたしたちを力づけて呉れます。まあ、この小さな本は、わたしが皆さんのために用意した力餅で、ほんのこころざしばかりの贈り物なのです。」

昭和15年秋に、藤村が69歳の時に書いた文章とのことです。

みなさんは、人生の峠でどんな力餅で険しい路をよぢのぼりましたか?






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