201757(日)

男たちは、障害者運動に夢とロマンをかけ、女たちは、日々の生活をかけた。

荒井 裕樹『差別されている自覚はあるか』現代書館2017年
新進気鋭の障害者文化論・日本近現代文学の研究者である荒井裕樹氏が横田弘氏の行動・文学作品を対象として研究するなかで人間とは何かという問題に挑戦した作品。横田氏に優しく、でも、とことんくらいついていく荒井氏の姿勢がとにかくすごいです。さらに、運動家として、また詩人として一切の妥協をゆるさないでどこまでも自分自身を掘り下げていく横田氏も圧巻です。本作品には魅力的な方々が数多く取り上げられています。ぜったい、読んだあとでみえてくる世界が違ってきますよ。

あんなにラディカルな主義主張を繰り広げた「青い芝の会」。
その精神的主柱となった「行動綱領」を起草した横田弘。
その彼が憧れていたのは、こんなにも、ありきたりなものだった。
多くの人が憧れるような、あまりにもありきたりのものを、横田弘も欲していたのだ。
普通の人と同じように、脳性マヒ者も、人から生まれ、人を産む。
その産み-生まれる環の中に、普通に、脳性マヒ者も存在する。
 そんな、いのちの環の中に脳性マヒ者がいることを、あなたはどう思いますか?
 ただそれだけ、本当に、ただそれだけを問うために、横田弘は闘ってきたんじゃないか。
(同書272~273頁)

 題目は内田みどり氏「私と『CP女の会』と箱根のお山」九~10項(同書291項)の一文です。






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