2015527(水)

どうすれば子どもたちは勉強ができるようになるか?

 この問いに対して、私自身これだというところまでは到達していませんが、仕事上けっこう前からあれやこれや考えています。
 まず、この問いに対して「勉強すればいい」は無意味な反復で一種のトートロジーです。「お前たちは、やればできる」というのも同様にほぼ無意味です。「じゃあ、そういうあなたがやったら」と言われた方は反発し言い返したくもなります。子どもたちが自ら勉強するには、どのような条件を整えていけばよいのかという観点から考察することが、この問いに接近するための方法ではないかと、私は考えます。
 よくある話は、教育とは競争なり、競争はテストなりと子どもたちを点数で序列化してあおるというやり方があります。手っ取り早いやり方のようですが、これだとあまりにも刹那的で薄っぺらすぎます。中学生にこのやり方で勉強させると、多くの子どもたちが高校に行って手のひらをかいしたように勉強しなくなります。大学に行くとさらにその傾向が強まります。外部からの刺激を唯一の支えとして存在する学力が身について、その脆弱な学習動機が孕む問題を教育学研究で指摘されてきております。あるいは、「学力の剥奪」(いったん習得したかにみえる学力が、数年たつとかさぶたのようにはげ落ちること 中内敏夫 『学力とは何か』岩波新書1983年)の原因の一つであると指摘する研究者も少なからずいます。だからこのやり方はほどほどにしたほうがよいです。
 さらに、先行研究を検討してみましょう。以下の著書が参考になります。それは、志水宏吉 鈴木 勇 編著『学力政策の比較社会学』明石書房2012年のなかの執筆者とフィンランドの校長先生の聞き取り調査のやりとりです。
「あなたの学校の目標はなんですか?」
「学校の目標は二つあります。一つは、お互い助け合い、学校環境を守っていくこと。そして、生徒にとって、学校が安全な場所になることです。みんなが安心して自分自身でいられるような場所にすること。みんなが自分らしく表現できること。自分をよく見せたり、悪く見せたりしなくてもよいような場所であること。私たち大人にとっても学校は安心な場所であり、お互いを尊敬し合い、生徒を尊敬する場所でなくてはなりません。何か問題が起こったら時に、すぐに相談に行けるように」
 フィンランドはご存知のとおり国際学力比較調査ではこのところ常にトップクラスにランクされています。学校では競争主義的な教育は行われてはおりません。そのハイスコアーの理由の一つが、子どもどうしの関係、子どもと教師の関係を構築する際の目標であると考え、私は以下の点に注目します。まず、その目標がお互いの安心・尊敬を志向し、子どもたちを萎縮させるような抑圧的な要素がきわめて弱い点。つぎに、問題が起こればしっかりと相談できるという点が付け加えられていることです。これらのことは、子どもたちが知を自らのものにしていく過程を検討する上で重要なことではないでしょうか。
 では、最後に学校外教育機関としての学習塾がこの問いにどうかかわることができるのかという観点から、私の考えを述べて結びといたします。学習塾は学習指導要領などのしばりはほぼ皆無です。その一方で、学業成績の向上や入学試験の合格は最重要課題です。学習塾に通い勉強ができるようになるためには以下の点が大切です。一人ひとりの学習到達点から学習課題に取り組み、あまり堅苦しくなく、のびのびと学習すること。騒ぐのはダメです。わからないことは恥ずかしがらずに質問すること。その質問に講師は真剣に答えること。学校の教科書・ワークを軽視しないで繰り返しやること。英語の勉強では辞書をこまめに引くこと。数学では計算過程をきれいにわかりやすくノートに書くこと。まだまだあります。
興味のある方はご連絡頂けますと幸いです。当塾は入塾時の学力は問いません。






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